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XL250S配線図~考~ [バイク]

先日、XLOC(XLオーナーズクラブ)のメーリスでXL250Sの暗いライトを明るくするための方法という話が出た際、配線図を見る機会があり、3系統の線を色分けしてみたことがあった。
今回、その色付きの線をもう少し丁寧に描いてみた。
更に、配線図を見ていて思ったことを、嘘か真か、個人の意見も含めてうだうだと書いておく。

1. 点火系の配線:高い電圧が出るので注意!
001-XL250S配線図b-点火系.jpg

pdfをjpgに変換する良いツールが無かったのでpdfも置いておく。jpgの方は文字がつぶれ気味。
拡張子をpdfにしてね。(以下、同様)
002-XL250S配線図b-点火系_pdf.jpg

点火系発電機の出力線
・黒二赤の線
発電機出力は、ACである。
黒二赤の線がCDIユニットに繋がっている。
CDIユニットへのもう1本の入力線は、青二黄の線である。
青二黄の線は、パルスジェネレータに繋がっている。
パルスジェネレータは、進角のためのタイミングをCDIユニットに入力しているはず。

CDIユニットの出力は、黒二白の線が2本。
右の1本は、イグニッションコイルに繋がって、その後、スパークプラグに繋がっている。
左の1本は、更に、2本に分岐している。
1本は、ライティング・キルスイッチのIG端子に繋がっている。
キルスイッチをOFFにすると、IG端子がOFF(緑の線、フレーム)に繋がるのでエンジンがストップする。
もう1本は、メインスイッチのIG端子に繋がっている。
メインスイッチをOFFにすると、IG端子とE端子が繋がる。
黒二白の線は、イグニッションコイルとIG端子に繋がっているので、IG端子がフレームに繋がるという
ことは、イグニッションコイルの端子がフレームに繋がるということなので、強制的にスパークが飛ば
ない状態になるということ。


2. DC系(バッテリー)の配線
011-XL250S配線図b-DC系.jpg
012-XL250S配線図b-DC系_pdf.jpg

DC系発電機の出力線
(2本の線のどちらもフレームから浮いている):
・黄の線
・桃の線
発電機出力は、ACである。
黄の線と桃の線は、レギュレートレクチファイアの入力端子に
繋がっている。
レギュレートレクチファイアで、ACを整流してDCに変換後、
きれいなDCに整えられる。
レギュレートレクチファイアの出力は、赤、黒、緑の3本。
・赤:バッテリーへ直結
・黒:メインスイッチをONにするとメインスイッチ内のBATと
   HOが繋がる。HO端子は黒の線で、レギュレートレクチ
   ファイアの黒の線と同じである。
   メインスイッチをONにすると赤の線に加え、黒の線も
   DC+6Vになるという動作だと思う(間違っているかもね)。
・緑:リターン線
   発電機の基準電位とDC+6V、両方の基準電位になって
   いると思う。
   緑の線は、どこかでフレームに繋がっているはず


3. ヘッドライトの配線
021-XL250S配線図b-ライト系.jpg
022-XL250S配線図b-ライト系_pdf.jpg

ライト系発電機の出力線:
・白二黄の線(ホットライン)・・・ヘッドライトに繋がる線
・フレーム(リターンライン)
白二黄の線は、ライティングスイッチのCI端子に繋がり、
ライティングスイッチでHL端子に繋がる。
HL端子は青二白の線に繋がり、ウィンカーディマー・
ホーンスイッチのHL端子に繋がる。
ウィンカーディマー・ホーンスイッチで、ヘッドライトをLoに
すると、白の線に繋がる。
白の線は、ヘッドライトの発光フィラメントを通って、リターン
ライン(緑の線)に繋がる。


4. うんちく? グランドについて
スパークプラグ本体(リターン)は、エンジンにねじ込んでいくことによりボディに接続されている。
一方、リターン線である「緑の線」は一点でボディに接続されている。
こういうのを1点グランドとか1点アースと呼ぶ。
忘れがちなのだが、電流はホット側だけに流れるのではない。
リターンにも同じ値の電流が流れる。
しかも、色々な信号のリターンが共通になっているため、リターン側には様々な成分の電流が流れることになる。
1点グランドにするのは、そのような様々な成分の電流が他の機器に悪影響を与えないための工夫である。
この時代のバイクの場合は、プラグから発生するスパイク状の高電圧成分がCDIの誤動作を起こさせないようにしたかったのではないだろうか。
一方、信号系の部品は、グランドにつなぐ線を太くして電気抵抗を減らして誤動作を防ぐ工夫もされている。
1点グランドが良いのか、多点グランドが良いのか、一言では言えない、実は奥深い話なのである。
しくじると、不具合に陥ってしまうリスクもある。
キーワード:EMI、EMC

時代が進み、集積回路で構成される部品やユニットも外部からの信号に強いように改良が進められてきたので昔ほど気にしなくて良い場合も、ある。
一方、最近の車両にはECU、ABS、等等の繊細な回路を有する機器(コンピュータの類)が搭載されており、問題を起こさない設計や実装方法を実現することが今も重要な課題になっている。
結局、今の時代でも詳細は違うが似たようなものか.......

上でリターンに様々な成分の電流が流れる、と書いたが、このようにリターンが1つにまとめられているような回路を「不平衡回路」という。
不平衡があれば、平衡もある。
XL250Sにも「平衡回路」がある。
DC系の発電機の2本の線は、ボディに繋がっていない。
これは、当時、外部からの信号で誤動作しがちだった半導体部品で構成されたCDIユニットに発電機で発生した様々な不要信号が入らないようにする対策だった、と想像しちゃったりする。


5. うんちく? 当時の配線図について
1970年から1980年頃に描かれたXL250Sの配線図は手書きであったと思う。
各ユニットの絵が実物をイメージできる味のある絵ですよね~~~
当時は、パソコンなんて無かったか、あっても、めっちゃ高級だったからね。
CADなんてツールも見た記憶が無い。
図面は鉛筆で描く世代だ...
烏口は持ってたが宝の持ち腐れだったし、ドラフターも使ったことはないなあ。

現代はもちろん、CADで配線図や回路図を書く。
しかも、電気回路はnetlistとかいうリストを作れば自動描画される。
人間が介入するのは、部品や線の体裁を整えるくらいかな。

たとえばこれは、新しいバイクであるV-Strom650XTのサービスマニュアルにある系統図である。
041-v-st-circuit.jpg
コンピュータの入っているブロックに線が集中しているのがイメージとして分かってもらえると思う。
面倒なのでまだじっくり線を追っていないが...
配線図ではなく、系統図とあるので、細かなコネクタ(カプラ)等は載っていないのかもしれないね。


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