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パワーとトルクの話(解説というにはおこがましい) ~みんな、パワーが大好き?~ [バイク]

馬力と電力は同じ
馬力に時間をかけるとカロリー
だよ~~~

と、少々誤解を受けそうな書き方で始めましたが、、、、、、、、

最近、ユーチュバーとか、モトブロガーとかが流行ってて、テレビよりも面白いのがあるのでついつい観ちゃう。
そんな、バイクのレビューの中でよく聞く言葉が、パワー
言葉の使い方なんだけど、ついつい、細かい事が気になっちゃう、名もなき素人おっさんの戯言として書いてみよう。
実態は、困ることはほとんどない、重箱の隅をつつく、的な話だもんなあ。
どうでもいいことだろうけど、書こうか書くまいか、モヤモヤしてたんだけど、精神安定上、よろしくないだろうから、書いてみることにした。
文系の人は気にならないんだろうなあ。
自分はどっちかというと理系だからだろうなあ............
前書き、くどい?
そうだね。
知っている人は当たり前すぎて読むのが嫌になるかもね~~~


他のブログなどでもこの話題を説明しているところがあるので、
このブログでは趣向を少し変えて、単位を説明の道具としてみる。

1. 言葉(用語)の話
以下、[ ]という表記があるが、これは[単位]を示すことにする。
若い頃の物理学の先生からの受け売りだが、たとえば、
10[W]は、10ワットと読むが、[ ]の中が単位で、10という量とWという単位を明確に分けるためにこう書く。
今回は、10Wという書き方はしない。
()は、物理量(質量とか、長さとか、速度とか)を式の中で示す場合に使うことにする。

まず、パワーについて書く。
パワーとは、単位時間当りの仕事のことをいう。
パワーは、仕事率ともいう。

(馬力)=(パワー)=(power)=(仕事率)
単位で表現すると、以下。
[ps]=[W]=[J/s]

馬力は、パワーと同じ。
馬力は昔からメーカカタログに載っているトルクとパワー特性なんかに出てきますね。

仕事率?
聞きなれない?

仕事率は、仕事を時間で割った物理量、単位時間当たりの仕事量です。
1秒あたりの仕事量です。

物理用語の仕事は仕事量と同じです。
仕事?
仕事量?
聞きなれない?

[W]は、電気由来の単位だね。
最近は、バイクの出力にも[W]という単位を使っているのを見かける。
多分、国際単位系統一の動きなんだろね。

仕事、とは?
英語で言えば、WORK、そのままの訳ですじゃ。

(仕事)=(仕事量)=(エネルギー)
=[J]=[N・m]=[cal]
(・は、かけ算という意味。)

そう、仕事(量)とは、エネルギーと同じこと。
1[N]の(力)で、1[m]だけ物を動かした場合のエネルギーを1[J]という。

Jはジュール、Nはニュートン、calはカロリーだよね。
熱量であるcal(カロリー)も、エネルギーなのです。
カロリーは、女の人がよく気にするお言葉。
お菓子の袋なんかに表記されている。
あたりまえのことを書かないで、と言わないでね。
ここでは、くどいように書いているので。

エネルギーといえば、
E=m・c^2 (質量×光速の2乗)
アインシュタインの特殊相対性理論だったっけ。
エネルギーと質量の等価性、、、になると脱線しすぎだけど、、、、、

まとめると、
パワーというのは、単位時間当たりの仕事量のことで、
仕事量とは、エネルギーのこと。
カロリーはおまけで書いただけ。


次に、トルクについて

トルクは、力の一種で(厳密な指摘はご勘弁を)以下のように表せる。

(力)=(force)
=[N]

まあ、むかしは、[N]の代わりに、[kgf]と書いていた時代もあったけど古い話なので省略。
おっさんは、kgfで習った......

トルクの式は、(力)を使う。
(トルク)=(力・長さ/角度)
=[N・m/rad]
=[N・m]
radは物理量ではないので省略されるが、わざわざ書くと上になる。
長さは、タイヤの回転半径とかです(ここも厳密なご指摘はご勘弁)。

ここまで読んで気づいた人が多いと思うけど、、、
パワーのところで書いた(仕事)の単位と(トルク)の単位が同じ[N・m]になっている。
でも、(仕事)は(トルク)と同じではない。
別の物理量なので勘違いしないこと。
(単位が同じだから、同じ物理量という訳ではない。)

まあ、まとめると、
トルクというのは、力と同じだと思ってください。


力について、単位として書くと以下のようになる。
[N]=[m・m/s^2]
(質量)×(加速度)
同じ質量の物なら、加速度が大きい程、力が大きい。
加速度が大きいということは、アクセルを開けるとグイグイと前に進む。
回転数が少ない時にグイグイ加速する、というのはこういう感覚のことを言っている、、、
と思うと覚えやすい。
これが、いわゆる、低速トルクがあるとかいうやつのことじゃないですかね。


言葉としてのまとめ
パワーは、power
力は、force

powerとforceを辞書でみてみると、こうなってます。
・force は、いわゆる「物理的な力」のこと。
・power は、力というよりは、何かをする「能力」のこと。

パワーと力は、お互いに違う物理量なのをあらためて強調しとく。

------------------------------------------------------------------------------
forceは音楽のforteや要塞のfortと同じ語源で、「押したりする力の強さ」を表します。
一方でpowerはpotentialなんかの仲間で、forceのように表面上出ている力というより、
「内側に秘めた力」、を表します。権威や権限の意味にも使われます。
------------------------------------------------------------------------------

同じ言葉でも人によって解釈やイメージが違う場合があるのですが、パワフルというと、
短い時間の間に次から次へと作業をこなすようなことを思うが、どうやら、単に力がある
ことを言いたいと思える例が増えているような気がする........
パワーは一般的によく聞く言葉だけど、トルクは普段、聞きなれないからかな。

バイクや車の話をすると、低速トルクがないと最高速度に達するのにジワジワと時間がかかる。
150km/hrが出るバイクが2台あるとして、250CCだと時間がかかるけど、1000CC(トルクが
ある)だとすぐに達するということ、かな。




2. トルクとパワーの関係

トルクとパワーの言葉の意味を書いたので、次に、トルクとパワーの関係を書いてみる。

調べたところ、以下のページに式が載っていた。

独立行政法人 自動車技術総合機構
トップ >公開情報>審査事務規程
https://www.naltec.go.jp/publication/regulation/shinsajimukitei.html

TRIAS 99-016-01 原動機車載出力試験(二輪自動車) (251.20 KB)
https://www.naltec.go.jp/publication/regulation/fkoifn0000000ljx-att/fkoifn0000000ysj.pdf

(抜粋)
power-torque.jpg

いくつかの係数があるけど、バッサリ省略して書くと
(パワー)=(トルク)・(回転数)
(トルク)に(回転数)をかけたのが(パワー)ということです。

こうなると、表計算ソフトでグラフを描きたくなるもので、
適当に書いてみたらこうなる。

power-torque-01.jpg

横軸が回転数で、トルクが一定の場合(青色の横線)を想定すると、パワーは右上がりの直線になる。
ごちゃごちゃするので、何速とかのギアシフト毎のグラフにはしていない。

パワーは、トルクの値があってこそ決まるので(パワーがあってからトルクが決まるのではない)、
トルクの特性を極端に想定してして遊んでみる。

最大パワーは同じという条件とする。

低速トルクがある場合
power-torque-02.jpg
極端なグラフです。
赤矢印のところが低速域だとしたら、トルクが大きい分、パワーが上がっている。
低速トルクが大きいというのは、低速パワーが大きいというのと実質は同じことです。


低速トルクがない場合
power-torque-03.jpg
こちらは、低速トルクが小さい場合の極端なグラフです。
一目瞭然ですね。
低速トルクが小さいと、低速パワーも小さい。

目盛りはないけど、これらの3つのグラフの最大パワーは同じ(右端のとんがった部分の高さが同じ)としているので、
仕様上は同じ最大パワーとあっても回転数によるトルクの大小によって、低速トルクがあるとかないとかの違いが出てくるのはこういう訳。





最後に、powerとforce(力、トルク)についてのたとえ話でもして締めましょうかね。

フォースといえば、ジェダイの騎士、ということで、
新米のジェダイの騎士は、1人のストームトルーパーを吹っ飛ばすことができるが、1秒に1人だけ。
先生のジェダイの騎士は、1秒に10人のストームトルーパーを吹っ飛ばすことができる。
先生は新米の10倍のパワー(能力)がある、ということ。
先生って、パワフル~~~!

(おしまい)

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コメント 4

j-taro

電動機のトルク特性を活用して、加速力に全振りしたエコじゃないHV車とか出るとおもしろいんですが(笑


by j-taro (2020-01-19 19:10) 

かある

j-taroさん
電動機の場合のパワーは、まさに、
P[W]=V・[V]・I[A]
なので、電気抵抗を最小にできれば大トルク、大パワーの電動機ができあがりますね。
超電導とか(笑)
by かある (2020-01-20 20:08) 

マニアじじい

うんうん、私の専門は二昔前の内燃機関と自動車工学でした。
教員免許も持っている。
オットーサイクル・サバテサイクル・二段燃焼サイクルなどなど。
トルクは加速、パワーは最高速な~んて言ってたような。
でも、トルクの塊の超ロングストローク単気筒は遅かった・・・。
メグロのスタミナZ7はオートレース用だと思ってたり・・・。

まあ、テクノロジーより根性と気合だったような・・・。
古き良き時代、ばんざ~い(^^♪
by マニアじじい (2020-02-25 18:10) 

かある

マニア次長殿
返事の内容を考えてたら、ふと、思いついたので最初に数行を追記しました。
今は、物理や機械や電気の単位系を統一する時代になってきています。
そういうことで単位の側面から書いてみました。
かわるかわるよ~ 時代はかわる~
・・・勝手に歌詞変えました。

ちなみに、最近は時間の記号を
h
と書くんですが、これがいやで、今でも
hr
とかたくなに書いています。
だって、hってなんなんですか、エッチって(^-^;

by かある (2020-02-29 07:39) 

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